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知らず知らずのうちに、「銀河鉄道の夜」を読み終えてしまった。このような明るく深い銀河の旅に出って、悲しさが青白くすきとおった天の川に流されるような物語に、私は心癒されて感化された。

 

この物語は深く美しく、生死、自己犠牲、かっとう、無常、幸福などを探求し、思想も繊細な筆致も再び考えられる。私にとって、中国語の翻訳を参考にしながらも、日本語の小説を読むのはやはり難しい。単語の意味を調べたり、文章の意味を推測したり、時間が早く過ぎ、ただ少ないページを読んだ。しかし、このようにゆっくり読むことで、心を静め、作品が持っている精神や美しい空間を堪能することができる。

 

銀河鉄道の夜という作品を通して、作者の自然や命に対する情熱と優しさを感じた。読者の想像力に挑戦するかのような作者の繊細な描写は、読者の感覚を掻き立て、五感や認知の境界を曖昧にし、夢のような銀河の旅に読者を誘った。今回私はその作品の印象的な段落を記録した。

 

「河原の礫は、みんなすきとおって、たしかに水晶や黄玉や、またくしゃくしゃの皺曲をあらわしたのや、また稜から霧のような青白い光を出す鋼玉やらでした。ジョバンニは、走ってその渚に行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河の水は、水素よりももっとすきとおっていたのです。それでもたしかに流れていたことは、二人の手首の、水にひたったとこが、少し水銀いろに浮いたように見え、その手首にぶっつかってできた波は、うつくしい燐光をあげて、ちらちらと燃えるように見えたのでもわかりました。

 

森の中からはオーケストラベルやジロフォンにまじって何とも云えずきれいな音いろが、とけるように浸みるように風につれて流れて来るのでした。青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。だまってその譜を聞いていると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蝋のような露が太陽の面を擦めて行くように思われました。

 

物語の筋は複雑ではなく、あらかじめ結末を知っていたが、熟読したら、やはり感動した。特に大学の青年、男の子や女の子と会った後の展開の部分が感動した。

 

青年は教えるようにそっと姉弟にまた云いました。

わたしたちはもうなんにもかなしいことないのです。わたしたちはこんないいとこを旅して、じき神さまのとこへ行きます。そこならもうほんとうに明るくて匂がよくて立派な人たちでいっぱいです。そしてわたしたちの代りにボートへ乗れた人たちは、きっとみんな助けられて、心配して待っているめいめいのお父さんやお母さんや自分のお家へやら行くのです。さあ、もうじきですから元気を出しておもしろくうたって行きましょう。

 

ここまで読んで、感傷的になった。天国が本当に何の心配も憂いもない場所だったらいいなと思う、銀河鉄道の旅で見たように美しく、信じられないような光景だったら。

ジョバンニは同情の気持ちがわき上がってきて、幸福とは何かと考えた。燈台守がそう言ってなぐさめていました。

「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠げの上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。」 

 

「自己犠牲の精神」は「銀河鉄道の夜」の趣旨かもしれないが、ただ理想的な光明ではなく、人間の微妙な闇も描かれていた。例えば、ジョバンニは鳥をとる人や女の子をちょっと嫌っていた。カムパネルラが女の子と話しているところをみて、孤独感を感じていた。

 

どうして僕ぼくはこんなにかなしいのだろう。僕はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。あすこの岸のずうっと向うにまるでけむりのような小さな青い火が見える。あれはほんとうにしずかでつめたい。僕はあれをよく見てこころもちをしずめるんだ。

 

本当の幸福は正しい答えがないかもしれないが、ジョバンニは他人の幸いのために努力することに力を取り戻した。

 

僕もうあんな大きな暗やみの中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」

 

小説をよみおわったら、夢からさめたように、ぼんやりしていた。このシュールな世界が伝えたい精神は真実だ。本当の幸いは個人だけではなく、他人の幸いのために努力することだろう。

また、幸福を求めるのは想像するように簡単ではなく、自分の不安、傷み、欲望、情緒を克服できなくてはいけない。起伏があっても、正しい方向に少しずつ進んでいけばいい。

闇をみながら、明りを考える勇気は、こころから尊敬する。

 

この本の最後に、「雨ニモマケズ」もあり、去年この詩を読んだとき、気にいった、詩が伝える優しい強さにあこがれる。

 

今、この難しい際に、宮沢賢治の癒しの作品を読んだことは、天意だと思う。

 

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    小鈍鸚 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()